ふたりの先輩の言葉
- Ctree
- 2021年5月23日
- 読了時間: 4分
水谷さんと丹羽くん。水谷さんは以前から後輩へのメッセージを多く発信してきてるし、最近丹羽くんにもそういうメッセージが見られるようになってきた。
丹羽くんは卓球王国のインタビューで「左利きのダブルスを成功させて、左利きの選手の希望になりたい。」と言っていた。
それは、後輩で実力がある左利き(森薗くん、宇田くん、木造くん、松島そらくんなど)の選手が、左左ペアではダブルスが無理という理由で、代表選考から落とされることがなくなるように、という思いだった。
それは外からみてもけっこう露骨にみえた部分。
2019年の五輪選考レースの後半戦、森薗くんは日本人世界ランキングの上位につけていたけど、ワールドツアーに呼ばれなくなり、自費参加をしていた。
あの時は、水谷さんが2番以内で五輪代表が濃厚で(私はそう思ってなかったけどw)3番目の選手は水谷さんとダブルスが組める右利きの上位選手を競わせていた感じに見えた。
その中で、森薗くんは世界ランキングが高いにも関わらず、協会の費用でワールドツアーに派遣されなくなった。
これは、選考レースから除外されたと思うだろう。
左利きという理由しか考えられないし、そのことをとても悔しいと本人も言っていた。
丹羽くんの左左ダブルスに秘める思い、これ、後輩にとっては、すごく嬉しい言葉なんじゃないだろうか。
雄弁に語らない丹羽くんだからこそ、重い言葉だと思った。

水谷さんは、最近の朝日新聞のインタビューでこんなことを言っている→
「張本がいるから何とかやれているけど、男子のレベルは高くなっていない。女子と違って、男子には執念とか貪欲(どんよく)さ、泥臭さが足りない。Tリーグでなかなか試合に出られない若手は、海外に行くべき」
数年前までは、「張本くん」ではなく、「自分」がいなければ、日本のレベルはたいしたことない、とずっと言っていた。
これは、水谷さんのいつもの言い方だ。後輩に厳しい。
(実際には後輩に親身に語っちゃったりするあまのじゃく兄さん)
自分が泥臭く海外でがんばってきたから、わかるよ。
パワフルで高速の両ハンド卓球は、日本で通用しても、ヨーロッパのブロック上手な大柄の選手達に効くとは限らない、もっと幅を広げてほしい、自分が海外で戦うことで引き出しを多く作っていけた経験を、後輩にも味わってほしいだろう。
けど
今のコロナの時代に、これは難しくなってきてる、けっこう酷かもしれない。
海外リーグを目指したくても、国の方針で、海外を目指せない状況もあるんじゃないかな。
コロナというものが変異種で形をどんどん変えてくる、おそらく数年今のような世の中は続く。
リスク回避のため、母体が海外に行かせてくれない可能性もある。

丹羽くんは、後輩を認めている。そこからスタートしているメッセージだ。
水谷さんは、そうそう認めない。そういう壁をつくって、超えて見ろよ、というメッセージを出す。
好みはあるだろう。(わたしゃ丹羽くんが好き。あ、いまさら言う❤)
でも、後輩への、日本男子卓球への愛情から出ている言葉だというのは、ふたりとも同じだと思う。
水谷隼にはお願いがある。
執念、貪欲さ、泥臭さ、を後輩たちに教えてほしい。
今は海外に出れない難しさがある。
そのためには、NTを卒業したら、色々なことをやりたいと言ってるけど、NTにコーチとして残ってほしい。
ほんとうは自分で気づくのが一番だ。
でも、時代が変わってきて、子どももずっと同じじゃない、変わっていく。
今の子どもたちは、あなたの親世代とはまた違う親世代が育てているから、アプローチのされかたが違う。
それは、いい、悪いじゃない。
「褒めて育てましょう」「泣いたら抱っこして愛情を伝えましょう」と母子手帳に書いてあった親たちの子育てで、育ってきた子たちは、それまでとちがう。
ハングリー精神を持ってほしくても、卓球王国や卓球レポートの紙面しかなかった時代ではなく、Youtubeで卓球が学べるのが当たり前の子たちでは、そろっているものがちがう。
海外リーグ参戦が叶わず、経験を得られない若者たち。
でもあなたには言葉によって彼らに影響を与えることができる。
唯一無二の経験を積み重ね、実績を極めたあなたの言うことは、説得力がある。
そんなに遠くない時期に、日々の指導で、試合のベンチで、あなたが経験したもの、執念や貪欲さ、泥臭さを伝えてほしい。
あなたが指導者として輝き始めるときが、日本の男子卓球界に革命がおこる時だと思っている。
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